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2005年11月 9日 (水)

◆ベルベル人の伝統的な家/カラア・エル・ムグナ

カラア・エル・ムグナ
ワルザザートからティネリールに行く途中のバラの栽培で有名な町。
写真のような山肌と同化した住宅はこの辺りでは珍しくないけれど、この家はとても形が素敵だったので車を止めて見ていたら子どもと奥さんが出てきた。
もし出来れば家の中を見せて欲しいとお願いすると快く承諾してもらえ、案内してもらう事が出来た。
アラビア語が出来てよかった。
ここのお母さんらしき人はアラビア語は今一出来ないみたいだったけれど、子ども達は出来るらしく色々話をしながらお家の中へ。

非常に伝統的なベルベル住宅で、山の土を使って造られている。
結構大きな平屋で、山の斜面を殆ど削らずに造られているので家の中に段差が沢山ある。

日干し煉瓦作りの家。
山の土と藁を混ぜたもので作られている。非常に固いのでよほどの大雨が降らない限りは崩れたりしない。
内側の壁は漆喰のようなもので綺麗に仕上がっている。

玄関を入って直ぐの部屋。
何にも無いけれど、光が入ってとても綺麗。
ドアや窓の周りを白く囲うのはベルベルの住居の特徴。
天井は木と椰子の葉を組み合わせて作られている。

ラグが敷き詰められたサロン。
テーブルにはフトールの用意がされていた。
この部屋がリビングにもダイニングにも寝室にもなる。
ラグを敷いてクッションを並べるのが典型的なベルベルスタイル。床に近い暮らし。
アラブ系の家ではサロンの部屋には壁にずらりとソファを並べた「サロンモロカン」とテーブルになり、少し床から遠い暮らしになるけれど、やっぱりサロンモロカンはクッションを外すとベッドの幅になるのでお客さんが来た時などは寝室にもなる便利なスタイル。

伝統的な台所。
この釜でパンを焼いたりタジンを作ったりする。

台所の隣の部屋。
かごの中には塩漬けの肉が入っている。
この家には電気は通っているけれど、冷蔵庫は無い。
肉は塩とオリーブオイルとスパイスに漬けて、このかごの中で貯蔵すると言う。
こんな感じの天井の真ん中が開いていて格子になっている部屋は、昔の家に行くと良く見かける。
夫の実家にも今はガラスブロックがはまっているけれど、昔はこういう格子がはまっていた跡がある。
冷蔵庫が無かった時代は皆こうして肉を保存していたのだろう。
写真左側の壁に掛かっているのは骨を切るためののこぎり。

家の裏には牛、羊、鶏。
道を挟んで向かい側には川が流れていて、周りはオリーブの林になっている。
木の根元には野菜やハーブ。

井戸と洗濯板。
こういう感じのお家で水を汲みに行かなくて良いと言うのは素晴らしい。

私たちがお邪魔したときに居たのは、貫禄のあるおばあさん、お母さん、その姉妹と思われる女性、娘三人、息子一人。
大人の男の人は居なかった。きっとフトールまでの時間を町で過ごしているのだろう。

自然と一体になった素晴らしいお家だった。
バラの季節には、ドライフラワーつくりで忙しいらしい。
ピンク色の花びらで一杯の室内を想像しただけで素敵だ。

写真を撮っていると、「私たちはあなた達みたいな生活スタイルに憧れるけれど、あなたには私の家が素敵に見えるのね。」と可愛く笑われてしまった。

ベルベルの伝統的なお家に行くと、シンプルライフの見本のように何も無い。
ものの一つ一つには必ず意味があって、デコレーションのために置かれているものなど一つも無いのに、計算されつくされているような印象を受ける。

南部の伝統的な住宅

この家は一軒家だけれど、南部モロッコにはクサール(集合住宅)、カスバ(城)など様々な日干し煉瓦作りの古い住宅が残っている。
現在でも生活が営まれているところは沢山あるが、殆どが観光客には公開されていない。
もちろんこの写真の家も一般公開されている訳ではない。
観光向けに公開されているのはアイト・ベン・ハッドゥ位だけれど、あの中の住居、住人は観光客からチップを貰う事を生活の糧にしているので、なんだかわびしい雰囲気がある。

今回ご紹介したこの住宅には写真の通り、本当に何にも無い。自転車以外はほぼ土地の素材を使って造られたものだ。
自給自足や物々交換的な暮らしだから、お金で入る収入は非常に低いし、お母さんの世代はアラビア語も少ししか分からない位だから、読み書きも出来ないだろう。
この間ご紹介したモロッコの統計の「貧困層」「非識字層」にはいる人々だと思う。

でも、ここの家族は(写真でご紹介できないのが残念)とても健康的な肌艶で、よく話し良く笑い、おばあさんも腰も曲がっていない。
家の中も綺麗に掃き清められていて清潔感に溢れている。
家畜たちもよく世話されていたし、何気なく置かれた鉢の中には元気なイタリアンパセリが育っていた。
この暮らしが非常に幸福に見えた。
こんな風に家の中を良い雰囲気にする事は、やっぱり主婦が気持ちよく生活していないと出来ないことだ。
数字だけでは分からない事は色々あるなあと実感した。

*カラーエルムグナ:Kalaa el Mgouna

ワルザザートとティネリールの真ん中辺りにあるベルベル人の小さな町。
グランタクシーやバスで必ず通る道沿いにある。
ここに滞在する旅行者は少ないのでホテルやレストランは余り充実していない。
町外れにツーリストコンプレックスが出来ていたけれど、余り利用者は居ないようで静かな印象だった。

香料用のバラが特産で、バラのシーズンは3月~5月まで(お天気による)。
町の中心部にはローズ製品(香水、ローズ石鹸、ローズウォーターなど)を扱うおみやげ物やさんが沢山ある。
ローズウォーターは三本セット10DH~100DH程度までと幅広い。(もちろん他の町で買うともっと高い。)
ここで売られているのはパッケージが今一だけれど、正真正銘のナチュラルなローズウォーター。
香水の原料となるローズオイルを抽出する際に出るナチュラルなお水で、非常に強いバラの香りがする。
シーズン中から夏ごろにかけては、ドライローズのネックレスを持った人々が道の両側に立っている。

香水の原料としてヨーロッパに輸出されているローズオイルは写真のような民家ではなく、町外れにある小さな工場で製造されている。

*ローズフェスティバル

毎年5月に開催されるバラ祭り。
バラの収穫を祝う音楽やベルベルのダンスなど。バラの女王が選ばれる。
一度見に行った事があるけれど、それほど面白いとは思わなかった。
近辺の村の人々が綺麗な格好をして集まり、親交を深め合うための祭りと言う印象。

この次はトドラ谷に向かいます。

ディアモロッコ/宮本 薫 http://www.dearmorocco.com

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コメント

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投稿 | 2007年10月16日 (火) 17時07分

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